ミーネクスト
Gemini業務自動化

Workspace Studioの「スキル」とは──Gmail・ドキュメントの横で@呼び出し、使える条件と作り方

Google Workspace 公式ブログのスキル紹介部分
提供元の発表ページ(2026年8月の新機能まとめ) (出典:Google Workspace Blog

Google が2026年8月27日に公開した Workspace の月次アップデートで、Google Workspace Studio の「スキル(skills)」が紹介されました。チームのルール・テンプレート・参照ファイルをまとめた「再利用できる指示」を1回作って保存しておき、Gmail やドキュメントで作業している最中に @スキル名 で呼び出す、という機能です。毎回同じ前提をチャットに打ち直す手間をなくす、という話です。

何が変わったか

Google Workspace Studio は、Gmail・ドライブ・スプレッドシート・Chat などをつないで作業を自動化する、Google Workspace 標準の機能です。今回そこに加わった「スキル」は、フロー(自動で動く仕組み)とは別物で、人が作業している最中に呼び出す“指示書”にあたります。

  • 呼び出し方:公式ブログでは「Gmail、ドキュメント、スライド、ドライブ、Chat で @メンションからいつでも呼び出せる」と説明されています
  • 中身:チームのルール・テンプレート・参照させたいファイルをまとめた、再利用できる指示(プロンプト)
  • 作り方:あらかじめ用意されたテンプレート(プロジェクトの概要、顧客向けブリーフィング、契約書の作成、ブランド ガイドライン、リーダー向けアップデート など)から選ぶか、自分で作る
  • 共有:自分のスキルをコピーできるリンクを他の人に渡せる。リンクを知っている人には作成者のメールアドレスが表示される、とヘルプに明記されています

要するに「同じ前提を毎回打ち直す」のをやめるための機能です。「この書式で」「この用語で」「この資料を見て」を1回書いて保存し、次からは名前を呼ぶだけにする、という位置づけになります。

使えるかどうかは、プラン(エディション)よりも先に管理者の設定で決まります。ヘルプには「スキルは、Gemini ベータ版プログラムのユーザーがご利用になれます」「スキルの使用や組織外のユーザーとの共有が可能かどうかは、Workspace 管理者が管理します」と書かれています。個人の無料 Gmail アカウントではなく、仕事用アカウント向けの機能です。日本語のヘルプページはすでに公開されていて、順次展開の扱いです。

Workspace Studio ヘルプのスキル作成手順
提供元のヘルプページ。テンプレートの一覧と、スキルを作る手順が載っています (出典:Google(Workspace Studio ヘルプ)

業務での使いどころ

向いているのは「毎回同じ形に整える仕事」です。逆に、毎回ゼロから考える企画や、金額・契約条件を決める仕事は、スキルにしても判断そのものは肩代わりしてくれません。

  • 向く:見積書・提案書・報告書など、社内の書式が決まっている書類の下書き
  • 向く:お客様への一次返信メールなど、言い回しを揃えたい文章
  • 向く:議事録を決まった見出し(決定事項・宿題・期限)に整える作業
  • 向かない:金額や納期の決定そのもの
  • 向かない:前例のない企画の骨子づくり

作り方はヘルプの手順どおりです。難しい設定はなく、日本語で説明を書くだけで下書きが出てきます。

  1. 1Google Workspace Studio を開く
  2. 2左側の[スキル]をクリックする
  3. 3テンプレートから選ぶか、[作成]をクリックして自分で作る
  4. 4「何をさせたいか」を日本語で書く(下のプロンプトをそのまま貼れます)
  5. 5生成された指示を読んで、社内の言い回しに直す
  6. 6参照させたい資料があれば[コンテキストを追加]で指定し、出力の形を[出力を定義]で決める
  7. 7[オンにする]をクリックして有効化する
  8. 8Gmail やドキュメントの Gemini サイドパネルで @スキル名 と打って呼び出す
議事録を社内書式に整えるスキルを作らせる説明文(スキルビルダーに貼る)
社内会議の議事録を、決まった書式に整えるスキルを作ってください。

やってほしいこと
・渡された文字起こしやメモを読み、下の見出しの順に並べ替えて出力する
 1. 会議名/日時/出席者
 2. 決定事項(決まったことだけ。検討中のものは入れない)
 3. 宿題(担当者名と期限を必ずセットで書く。どちらかが不明なら「未定」と書く)
 4. 次回までの確認事項
・敬語は「です・ます」で統一する
・社外の会社名は正式名称(株式会社◯◯)で書く

やってはいけないこと
・元の記録に書かれていないことを補って書かない
・担当者名や期限を推測で埋めない。書かれていなければ「未定」と書く
・「活発な議論が行われた」のような、中身のない要約文を入れない

コツは「やってはいけないこと」を必ず入れることです。書かれていないことは「未定」と書かせる、と決めておくと、担当や期限を勝手に埋められる事故が減ります。スキルは一度作ると全員が同じものを使うので、この1行の有無が全社の品質差になります。

ジェムとの使い分け・「スキル」は今3つある

似た機能に「ジェム(Gem)」があります。ジェムは Gemini のアプリ側で「この専門家と会話する」と入口を固定する道具で、スキルは Gmail やドキュメントで作業している途中に判断基準を呼び出す道具です。置き場所が違う、と考えると整理しやすくなります。

紛らわしいのが名前です。いま「スキル」と呼ばれているものは3つあります。今回の Workspace Studio のスキル(仕事用アカウント向け)、Gemini アプリ側のスキル、そして Chrome のスキル(ブラウザでよく使うプロンプトを1クリックにするもの)です。社内で説明するときは、どれの話かを最初に言わないと話が噛み合いません。

試すときに気をつけること

スキルは「説明書」であって、できることが増えるわけではありません

ヘルプには、スキルは「ツールがサポートしていない機能(画像生成など)を Gemini に新しく付与することはありません」と明記されています。できないことは、スキルにしてもできません。あくまで、できることのやり方と判断基準を固定する機能です。

  • 個人の Google アカウント(無料の Gmail)で Workspace Studio を開くと、Studio ではなく「Workspace の AI 実験」ページへ飛ばされます(2026年9月9日に実際に開いて確認)。仕事用アカウントでないと入口に入れません
  • 画面に[スキル]が出てこない場合は、まず管理者側の設定を確認する。Gemini ベータ版プログラムの対象になっていない、または管理者がオフにしている可能性があります
  • 共有リンクを渡すと、相手側にコピーが作られます。相手が中身を書き換えても、こちらの元のスキルは変わりません。逆に、こちらが直しても相手のコピーには反映されません
  • 共有すると、リンクを知っている人に作成者のメールアドレスが表示されます。社外に渡すときは、その前提で作る
  • 参照させる資料に、顧客名や単価の入ったファイルをそのまま指定しない。スキルを共有した相手に、その前提ごと渡ることになります
  • ジェムが2026年10月20日に終了する、という表示が Gemini のアプリ内に出ていますが、Google の公式アナウンスとしては確認できていません。社内説明で断言しないほうが安全です

最初の1本は、失敗しても誰も困らないところから作るのがおすすめです。議事録の整形、社内報告の書式合わせあたりが手頃です。うまく動いたら共有リンクでチームに配り、全員の出力の形が揃うかどうかを2〜3週間で見る、という進め方が現実的です。

出典

この記事に関連するレシピ

業務自動化」の業務を生成AIで進める手順を、動画で確認できます。

社内で使えるようにしたい方へ

記事の内容を自社の業務に合わせて落とし込む、生成AIの研修も実施しています。 業種・職種に合わせた内容でご相談いただけます。

研修について相談する

他のAIニュース

Gemini運用

Gemini Enterpriseのアクセス制限を管理コンソールで設定──対象プランと確認方法

Google管理コンソールでGemini Enterpriseにコンテキストアウェアアクセスを設定できるようになりました。端末・場所で使える人を絞る手順と、自社が対象プランかの確認方法をまとめます。

ChatGPT新機能

ChatGPT Images 2.5とは──手描きスケッチから資料用画像を作る手順

OpenAIが発表した画像生成モデル「ChatGPT Images 2.5」。手描きスケッチや参考写真から資料用の画像を作る手順と、対象プラン・日本での提供状況、業務で任せてよい範囲を整理しました。

ChatGPT障害

ChatGPTで画像生成できない──公式ステータスページでの確認手順と代替手段

ChatGPTで画像が作れない・エラーになるとき、原因が自分側かOpenAI側かはステータスページで1分で切り分けられます。2026年9月8日の画像生成障害を例に、確認手順と復旧を待つ間の代替手段をまとめました。

ChatGPT障害

ChatGPTでファイルをアップロードできない──提供元の障害か自分側かの切り分け方

OpenAIのステータスページに2026年9月8日、ChatGPTのファイルアップロードが遅延・失敗しているとの障害情報が出ました。提供元側の障害か自分の環境の問題かを切り分ける手順と、資料要約や議事録の作業を止めないための回し方をまとめます。