Perplexity「SPACE」公開、AIに作業を任せる土台が変わった

Perplexityが2026年7月15日、AIエージェント専用の隔離実行環境「SPACE」を公開しました。AIが何時間・何日もかかる作業を続けるための土台で、パスワードや鍵はサンドボックスの外に置いたまま必要な瞬間だけ渡す設計になっています。すでに同社のAIエージェント「Perplexity Computer」の全セッションがこの上で動いています。新しいボタンが増えたわけではありませんが、「AIに調べものを任せっぱなしにする」という使い方の前提が変わる話です。
何が変わったか
SPACE は「Sandboxed Platform for Agentic Code Execution」の略で、AIエージェントがコードを実行したりファイルを書き換えたりする作業を、外から隔離した箱の中でやらせるための基盤です。ユーザーが操作する画面に新機能が増えるものではなく、AIエージェントが動く場所そのものを作り替えた、という発表になります。
- ●AWSが公開している Firecracker microVM を使い、作業ごとに使い捨ての仮想マシンを立てる。サンドボックスごとに独立したカーネルを持つ
- ●パスワードや鍵はサンドボックスの中に保存せず、ユーザー側の管理下に置いたまま、必要なときだけ渡す
- ●btrfs のコピーオンライト方式でスナップショットを取り、作業の一時停止・再開・分岐(フォーク)・巻き戻しができる。巻き戻せる範囲は最大1週間
- ●サンドボックスの起動時間は中央値で185ミリ秒→60ミリ秒、90パーセンタイルで447ミリ秒→89ミリ秒に短縮(従来比3.1〜5.0倍)
- ●2026年6月から Perplexity Computer に段階導入され、現在は Computer の全セッションが SPACE 上で動作
Perplexity は今後、Linux の microVM や Windows のゲスト環境、利用者の手元のマシンへも広げる方針を示しています。なお SPACE 自体は単体で契約できる製品として売られているものではなく、Perplexity Computer を動かす裏側の仕組みという位置づけです。Computer は Pro / Max / Enterprise 系のプランで、クレジットが残っていれば使えます。
業務での使いどころ
ここが実務に効くのは「長時間かかる調べもの」です。競合10社の料金表を集めて比較表にする、業界のガイドライン改定を追って要点を並べる、といった作業は、人がやると半日かかるうえに途中で中断されます。隔離された環境で作業が保持され、失敗したら巻き戻せるなら、AIに投げて別の仕事に戻る、という進め方が現実的になります。
- ●向く仕事:競合・仕入先・補助金などの一次情報を広く集めて表にまとめる/公開情報をもとにした業界動向の下調べ/集めた資料の整理と分類
- ●向かない仕事:社内の顧客名簿や見積データなど、外部に出せない情報を扱う調査/最終的な数字の確定や、契約・法令の解釈そのもの
- 1調べたい範囲と、出力してほしい形(表・箇条書き・比較軸)を先に決める
- 2情報源の条件を指定する(公式サイト優先、いつ以降の情報か、など)
- 3AIエージェントに投げて、いったん離席する
- 4戻ってきたら、出典URLが付いている行から順に、人が原典を開いて確認する
次の調査をお願いします。時間がかかってよいので、途中で切り上げず最後まで進めてください。 【調べる対象】 (例:〇〇業界向けの勤怠管理サービス 8社) 【集める項目】 ・サービス名 / 提供会社 ・料金(初期費用・月額・課金単位) ・最低契約期間 ・導入企業の規模感(公式サイトに記載があるものだけ) 【出力の形】 ・上記を列にした表で出す ・1行ごとに、根拠にした公式ページのURLを最後の列に入れる ・公式サイトに書かれていない項目は「記載なし」と書く。推測で埋めない ・まとめサイトやアフィリエイト記事しか根拠がない場合は「二次情報」と明記する 【禁止】 ・料金や導入社数を、出典なしで書かないでください ・見つからなかった項目は、空欄ではなく「未確認」と書いてください
「推測で埋めない」「未確認と書く」の2行が要です。長時間の調査をAIに任せると、埋まっていない欄をそれらしい数字で補ってくることがあります。空欄が残っている表のほうが、実務では安全に使えます。
試すときに気をつけること
「安全な実行環境」と「出力が正しい」は別の話です
SPACE が守るのは、AIが勝手にコードを実行したときに他へ影響が及ばないこと、認証情報が漏れないことです。AIがまとめた調査結果の中身が正しいかどうかは、この仕組みでは一切保証されません。表に並んだ料金や社数は、これまでどおり人が原典で確かめる必要があります。
- ●自社のクラウドやメールのアカウント情報をAIに渡して作業させる場合は、渡す権限を最小限に絞る。閲覧だけで済む作業に、編集権限まで渡さない
- ●巻き戻しができるのは最大1週間。長期の作業は、途中経過を自社側にも保存しておく
- ●外部に出せない社内情報を扱う前に、社内の情報の取り扱いルールと、契約プランの範囲を確認する
- ●まずは公開情報だけを対象にした調べもので試し、精度と手戻りの量を見てから範囲を広げる
出典
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