ChatGPT広告の出稿がChatGPTからできる──日本は対象か、確認方法と新機能

OpenAIが米国時間2026年9月3日、広告主向けのプロダクト更新を配信しました。目玉は、ChatGPTやCodexの会話の中から広告キャンペーンを作って運用できる「ChatGPT Ads Manager」プラグインです。あわせて、自社の顧客リストを使うカスタムオーディエンスの制限緩和、コンバージョン計測項目の追加、配信地域の拡大なども告知されています。日本の会社にとっての本題は「そもそも日本から出稿できるのか」ですが、公式ヘルプの国別一覧では日本は「Available(利用可能)」です。何ができるようになったのか、出稿を検討する前に社内で何を決めておくべきかを整理します。
何が変わったか
今回の内容は、OpenAIが広告主向けに配信しているプロダクト更新(米国時間2026年9月3日配信)で告知されたものです。ひとつの新機能の発表ではなく、この1週間ぶんの変更をまとめたお知らせという形をとっています。主な項目は次のとおりです。
- ●ChatGPT Ads Manager プラグイン:ChatGPTまたはCodexの会話から、キャンペーンの作成・運用・分析ができる。自社サイトや簡単な指示文をもとに、そのまま出稿できる状態の広告案や複数パターンを作らせることもできる。変更は適用前に内容が提示され、実行してよいかを確認される
- ●カスタムオーディエンス(自社の顧客リスト)の制限緩和:作り直さずにメンバーの追加・削除・入れ替えができる。1回のアップロードでメールアドレスと電話番号など複数の識別子を混在させられる。500万人を超えるリストも作れる。Google広告ID(GAID)にも対応
- ●コンバージョン計測の項目追加:計測タグ(Measurement Pixel)でハッシュ化した電話番号・氏名・地域・郵便番号を送れるようになった。サーバー側から送るConversions APIでも同種の項目とAndroidのGAIDに対応
- ●カルーセル広告の内訳が見えるように:商品フィードから作った広告が横並びのカード形式で表示されたとき、カードごとの表示回数とクリック数がレポートに出る。2026年8月20日以降のデータが対象
- ●予算の消化ペース調整:期間合計の予算を設定したキャンペーンで、支出が期間内に平準化されるようになった
- ●配信地域の拡大:欧州・インド・中東・北アフリカの一部の国に広がった
このうち広告担当以外にも関係するのがプラグインです。広告の管理画面を開かずに、ChatGPTとの会話のまま出稿作業ができるという作り方で、これまで「専用ツールを覚えないと触れない」領域だった広告運用の入口が下がります。ただし現時点でこの一連の更新をまとめた公開ページは出ておらず、広告主向けメールでの告知にとどまっています。
そして日本の会社にとって一番大事な点です。OpenAIの公式ヘルプにある国別の一覧(Ads Manager Availability)を2026年9月4日時点で確認したところ、日本は「Available」=自分で申し込んで出稿できる状態でした。掲載されているのは52か国・地域で、米国・英国・カナダ・オーストラリア・インド・韓国・メキシコ・ブラジルと欧州各国が並びます。一覧に無い国、または「Coming Soon」の国は、まだ自分では出稿できません。
なお、ChatGPTの画面に広告が出るのは無料プランとGoプランのユーザーだけで、Plus・Pro・Enterpriseには表示されません。これは出す側の話とは別の仕様です。読者として広告が出る側の話は、別記事「ChatGPTの広告は回答に影響するのか」で整理しています。
業務での使いどころ
いきなり出稿する話にしないでください。中小企業でまず効くのは、出稿しなくても今日できる「広告文の案出し」のほうです。プラグインが自社サイトから広告案を作れるということは、同じことを普通のChatGPTでもできるということです。チラシ・LP・メールの件名にも流用できます。
- 1自社の商品・サービスのページを1つ選ぶ(一番売りたいもの、または一番問い合わせが来るもの)
- 2そのページの文章をChatGPTに読ませて、下のプロンプトで見出し案と説明文案を出させる
- 3出てきた案のうち、自社が事実として言い切れるものだけを残す(言い切れない表現はこの時点で捨てる)
- 4残った案を、まずは既存のチラシ・メール・SNS投稿で使ってみて、反応のある言い回しを見つける
- 5そこまでやったうえで、有料の広告に出す価値があるかを判断する
以下は当社の商品ページの文章です。この内容だけを根拠にして、広告の見出し案と説明文案を作ってください。 【作ってほしいもの】 1. 見出し案を10本(それぞれ全角15文字以内) 2. 説明文案を5本(それぞれ全角45文字以内) 【守ってほしいこと】 ・ページに書かれていない実績・数字・受賞歴・シェアを足さないでください ・「業界No.1」「最安」など、根拠を示せない優位性の表現は使わないでください ・10本のうち3本は「困りごとから書き出す型」、3本は「対象者を名指しする型」、残りは自由にしてください ・案ごとに、どの一文を根拠にしたかをページの文章から引用して添えてください 【最後に】 このページの文章だけでは書けなかったが、広告にするなら本来ほしい情報を「不足リスト」として挙げてください。 --- 商品ページの文章ここから --- (ここにページの文章を貼り付け)
「根拠にした一文を引用させる」「不足リストを出させる」の2つを必ず入れてください。これが無いと、AIは足りない部分を一般的な宣伝文句で埋めてしまい、自社では裏を取れない表現がそのまま広告案として出てきます。
逆に、いま慎重にすべきなのがカスタムオーディエンスです。自社の顧客リスト(メールアドレスや電話番号)を広告配信のために外部へ渡す使い方にあたるため、担当者の判断だけで進めてよい作業ではありません。取得時の同意の範囲、個人情報の取り扱い方針の記載、社内の承認ルートを先に確認してください。
試すときに気をつけること
「出せる」と「出す価値がある」は別の話です
日本が対象になったことで出稿は可能になりますが、ChatGPT広告はまだ運用の型が定まりきっていない媒体です。管理画面も名称が「Ads Manager Beta」のままです。既存の広告予算を振り替えるのではなく、まず捨ててよい額で試す、という入り方をおすすめします。効果を判断するには、問い合わせや購入がどこ経由で来たかを自社側で数えられる状態(計測タグの設置など)が先に要ります。
- ●顧客リストを使った配信対象の指定(インクルード)や入札調整には、リストの中で25,000人以上が照合できている必要があります。それ未満のリストは「この人たちには出さない」という除外にしか使えません
- ●カルーセル広告のカードごとの表示回数は、課金対象の表示回数とは別に数えられています。請求額と突き合わせるときに二重に数えないでください
- ●クリックされなくても表示だけで効果を測る「ビュースルー」に対応した最適化は、まだ提供前の告知段階です。使える前提で計画を立てないでください
- ●プラグインは変更を適用する前に確認を求める作りだと説明されていますが、確認するのは人です。予算・配信先・期間は自分の目で読んでから承認してください
- ●国別の対応状況は変わります。出稿の直前に、公式ヘルプの国別一覧でもう一度確認してください
今回の更新で下がったのは「広告を触るための操作の壁」であって、「何を言えば伝わるか」を決める仕事は変わりません。まずは自社ページから案を出させて、社内で言い切れる表現を選ぶところから始めるのが、遠回りに見えて一番速い進め方です。
出典
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